抄録
競争の開始時期や進行の程度をLAIにより一般的に示し得るかどうかを明らかにする目的で,ペレニアルライグラス(PRG)とトールフェスキュ(TF)を高低2水準の密度下で各単播および混播した。催芽下種後4〜11週にかけて個体の風乾重と葉面積を測り,さらにそれらの競争値と混播群落のLAIとを求めた。下種7週目頃よりPRGでは風乾重,葉面積とも混播区の値が単播区を凌駕し,逆にTFでは単播区の値を下まわって,PRGでは正の,TFでは負の競争効果が認められた。これは主としてPRGに対するTFの出芽,出葉のおくれによった。競争値とLAIの進移を対比すると競争はおよそLAIが1.5〜2.0に達する時期に開始されるものと推測される。その後LAIの増大にともない競争程度も進行するが,高密度の場合は密度効果が影響するためか両者の平行関係に乱れが生じた。