抄録
初成群落で得られた競争の草種間優劣が再生群落に至ってどのように推移するかを知るため,ペレニアルライグラス(PRG)とトールフェスキュ(TF)を高・低密度(HD,LD)の下に単播および等量混播し,初成群落では4回,再生後の3番草群落でも4回,翌春4番草群落で2回の調査を行った。草丈以外の量的形質では初成群落の後期に競争の徴を現わし,3番草群落では再生長直後から顕著な競争効果がみられ,一般にPRGでは競争による形質値の正の偏りが,またTFでは逆に負の偏りが生じ,終始PRGはTFに対し競争上の優位を保った。ただHDの3番草の生長後期からPRGにみられた生長助長的な競争効果が消失したが,これは主に高密度集団での劣弱株の多数輩出という密度効果に帰因するものと思われる。刈取りにより実質的に低密度状態への復帰を繰返えす牧草群落でこの現象の普遍性はなお検討を要しょう。