日本草地学会誌
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オーチャードグラスとアカクローバの単播および混播草地の生産性 : I.4年間の生産性と造成初期の生産構造
佐藤 庚
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1981 年 27 巻 1 号 p. 64-70

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抄録
アクカローバが多収のマメ科でありながら短年生の欠点をもつので,その維持年限を延長する試みとして,永年生イネ科草との混播を試験した。アカクローバ単播(R),オーチャードグラス単播(O),両者の混播(O/R,O-R)の4草地を作った。O/Rは両草種を混じて散播,O-Rは両者を交互畝に条播した。造成初期には4草地の生産構造をしらべるとともに4年間にわたる生産性を比較した。5年目には草地をつぶしてトウモロコシを栽培し,前作の残効を比較した。アカクローバをオーチャードグラスと混播すると,クローバの窒素固定能によって,4年間の乾物生産量,粗蛋白質収量が著しく高まった。生産性はO/R>O-R>O>Rの順となった。R草地では3年目にアカクローバが殆んど消滅してそのすき間に雑草が侵入した。オーチャードグラスを混播した草地では雑草の侵入が少ない上に,アカクローバがR草地より多く維持された。トウモロコシの生育状況からみて,これら草地の残効は大きい順にO/R>O-R>R>Oとなり,アカクローバの意義の大きいことが追認された。
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© 1981 著者
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