抄録
高硝酸含量のイタリアンライグラスを材料とし,これを予乾によって3段階に水分調節(高水分,中水分,低水分)してサイレージを調製し,水分含量の違いがサイレージの品質ならびに硝酸態窒素の消失におよぼす影響を調べた。1.高水分および中水分サイレージは,埋蔵後,硝酸態窒素の消失が速く,消失量も極めて多かった。低水分サイレージは埋蔵期間を通して,硝酸態窒素の消失は少なかった。これらのサイレージはいずれもpHは高くなったが,酪酸は高水分サイレージにのみ認められ,その生成量は多かった。2.詰込み量ならびに切断長が硝酸態窒素の消失および品質におよぼす影響を調べた結果,詰込み量の違いにより高水分区の品質に差異はみられたが,いずれも低品質となった。しかし中水分,低水分区では違いがみられず中程度の品質であった。硝酸態窒素の消失についても,高水分区に差異がみられたが,いずれも高い消失率であった。切断長を変えてもサイレージの品質および硝酸態窒素の消失にはほとんど違いが認められなかった。3.埋蔵50日目におけるサイレージの品質と硝酸態窒素の消失率との関係をみると,高水分サイレージは低品質であったが,消失率は高く80.1〜100%であった。予乾により水分含量を少なくすると(中水分,低水分)品質はやや向上した。しかし,消失率は予乾の程度により異なり,中水分の場合91.5〜98.0%となったが,低水分では4.2〜30.0%の範囲であった。