日本草地学会誌
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グリーンパニックの種子に関する研究 : VI.塩類濃度による発芽障害程度に及ぼす種子処理法の影響
岡田 忠篤
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1982 年 27 巻 4 号 p. 347-351

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抄録

採種日,重量,処理法を異にするグリーンパニック種子を供試し,採種後の時間経過に伴って発芽状況がどのように変化するかを,純水及びKCl0.03M溶液,同0.06M溶液を用い塩類濃度障害と関連させて調査した。一般に採種後8か月では発芽率が低くかつKCl溶液での発芽率低下度も大きかった。発芽率はその後採種から1年余までの間に上昇し,それ以降の1年半は,溶液濃度及び種子の採種日,重量,処理法ごとにみて,ほぼ同水準の発芽率を保った。種子処理法としては35℃貯蔵が発芽率を向上させ発芽を早める上で著しい効果を現し,特に採種後8か月でも高い発芽率に達したこと並びにKCl0.06M溶液での発芽率低下度が小さかったことが注目された。96時間流水浸漬処理種子は,純水の場合に採種後2年以降において,無処理種子より発芽率が若干高かった。3時間流水浸漬処理は採種後8か月における発芽率を高めたが,それ以降には正の効果は認められなかった。一般に重い種子(容積重340mg/cc程度)の発芽率は軽い種子(容積重270mg/cc程度)より高い値を示し,特に35℃貯蔵種子はいずれの溶液濃度においても両者の発芽率には有意差があった。9月中旬採種種子の発芽には8月下旬採種の流水浸漬処理種子と似たところがあった。

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© 1982 著者
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