日本草地学会誌
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オオクサキビの化学成分とそのサイレーレジ調製
吉田 條二吉原 実中村 亮八郎
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1983 年 29 巻 2 号 p. 154-160

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抄録

耕地条件を異にするオオクサキビの1番刈りと2番刈りについてその化学的成分を定量し,また,そのサイレージを調製し,材料の成分とサイレージ品質の関係を検討した。1.一般成分は1番刈りで出穂前のトウモロコシ,2番刈りで出穂期のトウモロコシ程度であったが,粗蛋白質含量は水田のものが畑のものより低い傾向であった。Ca,Pの含量は一般に牧草類より低く,粗ケイ酸含量はとくには高くなかった。WSC含量は1番刈りで5%前後と低く,2番刈りで10%前後と高く,WSC/CPは1番刈りで0.5以下,2番刈りで0.8以上であった。NO_3-N含量は畑条件で著しく高く,水田条件で低かった。2.1番刈りで調製したサイレージは極めて劣質であった。グルコース1%の添加は品質を著しく改善したが,水田条件のNO_3-N含量の低いものでは不十分で,グルコース2%添加が必要であった。材料DM当りNO_3-N 0.1%相当の添加はFLIEG評点の向上にはほとんど寄与しなかったが,低硝酸含量の材料のサイレージでは酢酸,酪酸,総酸含量が低下し,高硝酸含量の材料のサイレージでは酪酸含量などを増加させた。水分約80%程度の予乾では十分な品質改善とはならず,グルコース1%添加が必要であった。2番刈りで調製したサイレージは無処理でも良品質であった。従って,オオクサキビの1番刈りでのサイレージ調製には予乾や糖質添加などの処理が必要と推定された。

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© 1983 著者
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