日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
青酸含量,収量性および飼料価値からみたコロンブスグラス(Sorghum almum Parodi.)の栽培・利用の可能性
熊井 清雄福見 良平嶋田 浩志丹比 邦保
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1987 年 33 巻 3 号 p. 213-218

詳細
抄録

本研究は暖地におけるコロンブスグラス栽培の可能性を明らかにするために,コロンブスグラス2品種と対照作物のスーダングラス3品種を供試して,両者の青酸含量,収量性,化学成分並びに飼料価値を比較したものである。結果を要約すると以下のとおりである。1. コロンブスグラス品種のJ-コロンブスとK-コロンブスの合計乾物収量はa当り224kgと250kgを示し,スーダングラスのパイパー,ハイスーダンおよびヘイスーダンのそれは185kg,188kgおよび212kgであり,コロンブスグラスが多収性であった。2. 青酸含量については,コロンブスグラス内ではJ-コロンブスがK-コロンブスより高かった。一方,スーダングラスの青酸含量はハイスーダンが最も高く,次いでヘイスーダンであり,パイパーのそれは極めて低かった。青酸中毒の安全限界を乾物中青酸含量500ppm以下とみなして草丈との関係をみると,コロンブスグラスではK-コロンブスで90cm以上,J-コロンブスで140cm以上であった。3. 緬羊による消化試験の結果,K-コロンブスの1番草のDCPおよびTDNの各含量は9.5%と59.6%,2番草では4.6%と58.3%であった。一方,ハイスーダンのそれらは1番草で9.9%と54.4%,2番草で6.7%と54.9%であった。4. 本試験の結果,コロンブスグラスはスーダングラスより耐湿性を有し,多収性で粗繊維の消化性は優れているが,青酸含量が高いので,茎葉中の青酸含量の低下を見計らって刈取る必要がある。なお,コロンブスグラスは耐湿性が認められるので,西南暖地の水田転換畑に適した新しい青刈飼料作物として,今後,有望と考えられる。

著者関連情報
© 1987 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top