日本草地学会誌
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サイレージの発酵品質および多湿乾草のアンモニア処理が子めん羊の成長および消化生理に及ぼす影響
篠田 満萬田 富治
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1990 年 35 巻 4 号 p. 309-317

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抄録
発酵品質の異なるサイレージおよびアンモニア処理乾草の長期給与が子めん羊の成長および消化生理に及ぼす影響を検討するため,イネ科主体混播の1番草を用いて,高水分(水分83%)無細切,高水分細切,低水分細切(水分29%)の各サイレージ,アンモニア処理乾草及び自然乾草を調製し,子めん羊に給与して,5週間の成長試験を実施した。高水分細切では良質なサイレージが調製されたが,高水分無細切では新鮮物中に酪酸を0.8%含み著しく劣質なサイレージであった。TDN含量は,高水分細切(以下良質)サイレージが71%と最も高いのに対して,高水分無細切(以下劣質)サイレージでは,61%と約10%の差がみられた。他のサイレージおよび乾草のTDN含量は両者の中間であった。窒素の蓄積率は,乾草が最も高かった。劣質サイレージの体重当りの乾物摂取量は2.3%と低いため体重増加はなく,個体間の変動が大きかった。一方,他の区では乾物摂取量は3%を超え,また,5週間で10%の増体を示した。飼料効率は,劣質サイレージはマイナスとなったが,他の区は10%前後を示した。給与4時間後の第一胃内のアンモニア濃度は,アンモニア処理乾草が最も高く,次いで劣質サイレージが高かった。VFAの構成比では,乾草及び低水分サイレージは酢酸のモル比が高かった。また,良質サイレージではプロピオン酸のモル比が高かった。劣質サイレージでは酪酸のモル比が高く,プロピオン酸のモル比が低かった。劣質サイレージ給与子めん羊の血中ケトン体濃度は10.2mg/dlと他の区の6.0-6.7mg/dlよりも高かった。一方,血糖,タンパク質濃度は低かった。また,アンモニア処理乾草および高水分サイレージを給与した場合の血中尿素窒素濃度は自然乾草よりも高かった。
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© 1990 著者
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