日本草地学会誌
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数種イネ科牧草の経年変化にともなう根群集積について
酒井 隆広田 秀憲
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1990 年 36 巻 3 号 p. 247-253

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抄録

イネ科牧草6種において根群集積(Root-mat)を起こしやすい草種とその成因を知るため,各牧草の経年変化にともなう根重の推移の違いを調査するとともに,その違いを根群の増加及び腐朽の点より考察を行った。その結果は以下の通りであった。1.経年変化にともなって地表付近での根量が最も増加したのは,ケンタッキーブルーグラスであった。また根量の増加が認められなかったのは,チモシーであった。2.根の腐朽速度は,チモシー,ペレニアルライグラスが早く,次いでケンタッキーブルーグラス,レッドトップであった。遅かったのは,オーチャードグラス,トールフェスクであった。このような腐朽速度の違いについて,根径及びリグニン含量の多少から考察を行った。3.経年変化にともなうケンタッキーブルーグラスの根量の増加は,地下茎の増加と夏の高温による枯死根の増加によるものと推察された。またチモシーに置いては,造成2年目で増加と分解が均衡のとれた状態になったものと推察された。

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© 1990 著者
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