抄録
異なる刈取り高さ(2,7,12,17,22cm)で管理されたバヒアグラス草地からの乾物収量とin vitro乾物消化率の3年間にわたるデータをもとに,これらの刈取り高さに対する反応について,いくつかの観点より解析した。刈取り高さに対する収量の反応パターンは,刈取り日,季節ならびに年によって大きく変化した(図1-3)。季節・年ベースでの傾向として,収量が最大となる刈取り高さは,夏から秋を経て春へと季節が進むに伴い,また,1年目から3年目へと年次が進むに伴い,22cm側から2cm側へと移行した(図3)。刈取り高さは,収量の年次内および年次間変動にも影響した。刈取り高さの低下は,常に,年次内変動を小さくする傾向であった(表1)。年次間変動の反応は,季節や年といった期間によって異なった(表2)。刈取り高さに対する消化率の反応パターンは,収量と比べて変動がかなり小さく,消化率は,ほとんど常に,刈取り高さの上昇に伴って低下する傾向であった(図4-6)。消化率の年次内および年次間変動も,刈取り高さに反応した。年次内変動の反応は年次によって異なり(表3),年次間変動の反応は季節や年といった期間によって異なった(表4)。消化率は,収量や収量増加速度が高い場合には低く,収量や収量増加速度が低い場合には変動がかなり大きかった(図7)。収量や収量増加速度の増加に伴う消化率の最大値の低下は,刈取り高さが低いほど小さい傾向であった。これらのことから,高収量・高収量増加速度と高消化率は一般に両立しないが,刈取り高さを変えることにより,両者をある程度高く維持することができる可能性が示された。