日本草地学会誌
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肉牛が放牧される砂質土壌上のバヒアグラス(Paspalum notatum FLUGGE)草地における植生の引き抜き
平田 昌彦菊池 雅史東山 雅一
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1994 年 39 巻 4 号 p. 446-459

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抄録

肉牛が放牧される砂質土壌上のバヒアグラス草地における植生の引き抜きについて,面積の異なる2つのパドックで5〜10月の放牧期間中に調査した(表1)。引き抜きは放牧期間中にしばしば観察された(写真1〜4)。1日・1m^2当りの引き抜き個数は0.54〜9.23個であり(図1),1日・1頭当りの引き抜き個数は181〜1961個であった(図2)。バヒアグラスの割合は13.3%〜96.8%となった(表2)。引き抜き1個当りの重量は,バヒアグラスで159〜493mgDM,他草種で53〜248mgDMの範囲にあった(図3)。バヒアグラスの引き抜き1個当りの重量に占める各部位の割合は,地上部で52.9〜68.1%,ほふく茎で27.6〜40.8%,根で3.0〜6.5%であった。また,他草種の引き抜き1個当りの重量においては地上部が63.6〜91.7%を占めた。バヒアグラスの引き抜き1個当りの各部位の重量の間には正の直線関係が成立った(図4および式1と2)。1日・1m^2当りの引き抜き重量は,地上部で0.06〜1.40gDM,地下部で0.02〜0.88gDM,全植物体で0.08〜2.29gDMであった(図5)。1日・1頭当りの引き抜き重量は,地上部で22〜298gDM,地下部で4〜188gDM,全植物体で29〜485gDMであった(図6)。バヒアグラスの割合は,地上部で11.9〜99.2%となった(表4)。バヒアグラスにおける1日・1m^2当りの地上部引き抜き重量は,1m^2当りの地際からの草量と正の直線関係にあり(図7),直線の勾配は面積の小さなパドックで大きかった(式3と4)。以上のようなデータに基づき,引き抜きに影響に与える要因について考察し,引き抜きによる植物体の損失について評価した。

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© 1994 著者
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