サイレージ調製時のNaOH処理およびNH_3処理が低水分アルファルファサイレージの消化性,窒素利用性およびルーメン内分解性に及ぼす影響について,ルーメンフィステルを装着したシバ山羊3頭を用いて検討した。予乾したアルファルファに水(対照),NaOHおよびNH_3溶液を噴霧してサイレージを調製し,6ヶ月後に開封して3×3ラテン方格法に基づく消化試験に供した。いずれのアルカリ処理もサイレージのpHを高め,NH_3-Nおよび酪酸を増加させたが,NH_3処理サイレージでは対照サイレージと同程度のアミノ酸が保存されていた。いずれのアルカリ処理も繊維成分(NDF,ADFおよびセルロース)の消化率を高めることはできなかった。また,NaOHの添加は粗蛋白質の消化率を有意に低下させた。NaOH処理は,ルーメン内における窒素の溶解性および潜在的分解性には影響しなかったが,分解速度を低下させた。NH_3の添加は窒素の溶解性を高めたが,分解速度の値は対照サイレージの値と同様であった。これらの結果から,NaOH処理はサイレージの発酵品質を著しく劣質化させるが,蛋白質のルーメン微生物による分解を抑制することが示された。