日本草地学会誌
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アイソザイムによるシロクローバ(Trifolium repens L.)のクローン識別
澤田 均山内 浩一郎
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1994 年 39 巻 4 号 p. 488-496

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抄録

シロクローバの栄養繁殖(クローナル成長)の程度とパターンを知ることができるようにするために,アイソザイムを用いたクローン識別法を開発した。でんぷんゲル電気泳動法で9種類の緩衝液系(pH5.5〜8.6のレンジ)につい,て2,1酵素の泳動条件と分離程度を検討した。その結果,3候補(アコニターゼ(ACO),エステラーゼ(EST),ホスホグルコイソメラーゼ(PGI))で鮮明な泳動像がえられ,かつ多型的な変異を示した。品種フィアを用いてこれら3酵素の品種内変異の程度を分析した結果,いずれの酵素も極めて多型的であり,これら3酵素のザイモグラムを組み合わせることにより,比較的高い精度でクローン識別することができることが明らかになった。さらに,この方法により,シロクローバ実験集団のクローン構造を分析した結果,複雑に入り交じったジェネット(遺伝的に同一の個体)をうまく識別することができた。草地においてシロクローバのクローンを識別するための実用的な手順を提案した。

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© 1994 著者
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