日本草地学会誌
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オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の形態とエチレン生成におよぼす人為的踏圧の影響
本江 昭夫生沼 英之
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1998 年 44 巻 3 号 p. 198-202

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抄録

人為的踏圧に対するオーチャードグラスの形態の反応とエチレン生成量を, 1993年7月〜11月の間に調査した。実験では, 予め滅菌しておいた川砂を用いて, 幼植物を砂耕栽培した。幼植物には蒸留水とホーグランド標準液を隔日に給与した。播種後50日目より, 4段階(0, 2, 5, 10kgf/cm^2)の踏圧処理を5日間隔で7回幼植物に加えた。 踏圧処理区では, 生育型が直立型から匍匐型へと変化した。対照区にくらべて, 草高は30-55%, 生長点の位置は0.35-1.42mm踏圧処理区で低かった。逆に, 分げつ数は踏圧区で13-53%高かった。5, 10kgf/cm^2の踏圧処理区では, 第1回目の踏圧処理直後に55〜43nl/個体/時間のエチレン生成を認めた。これらの処理区では, エチレン生成量は日を追って減少していった。電解質の溶出量から求めた組織の被害度は, 葉身よりも葉鞘で明らかに高く, また, 対照区より踏圧区で高かった。これらのことから, 繰り返し加えられた踏圧ストレスに対して, イネ科植物は物理的な安定性や踏圧ストレスに対する抵抗性を改善させるものと推察された。

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© 1998 著者
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