日本草地学会誌
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傾斜放牧草地の地形と草地管理 : 1. 裸地と排糞の分布
井出 保行小島 誠林 治雄
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1998 年 44 巻 3 号 p. 208-214

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抄録

傾斜放牧草地における地形が放牧牛の行動に及ぼす影響を牛道と裸地ならびに排糞の分布から検討した。 傾斜の急な地点では放牧牛の行動が規制され, ほぼ等高線に沿う形で牛道が著しく発達した。その発達様式から, 放牧牛が傾斜地を自由に歩行できる範囲は斜面傾斜角6度までであり, おおよそ12度以上になると牛道上を集中的に歩行するようなると考えられた。草地の裸地率は, 斜面傾斜角12度を境に, 斜面傾斜角の増加に伴って, 増加する傾向があった。 放牧牛の排糞分布は裸地分布とは逆の傾向を示し, その落下面積は放牧牛の休息場となる緩傾斜地で大きく, 斜面傾斜角の増加に伴って小さくなる傾向があった。糞の分布パターンは年次間の変動が少なかったことから, 地形(特に斜面傾斜角)と放牧牛の排糞パターンとの関係は定常的なものと考えられた。

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© 1998 著者
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