水田におけるイネホールクロップサイレージ用カッティングロールベーラを開発した。本機は自脱型コンバインの走行部,刈取り・搬送部を利用し,脱穀装置の替わりにベール成形室を搭載した自走式ダイレクトカット方式のロールベーラである。本機の特徴はベールの高密度化と解体作業の省力化を目的に,ベール成形室の前部に切断装置(ディスクカッター)を組み込んだことにあり,切断刃間隔を穂先側210mm、株側150mmに設定した場合,平均切断長は197mmであった。また、自脱型コンバインの刈取り・搬送部をそのまま利用していることから,ベール内に穂部が偏る傾向があり、オーガ方式による撹拌を検討したが,穂部を完全に混合するには至らなかった。但し,ベールの形状からみた成形精度は良好であった。含水率60%の飼料イネを収穫・梱包した場合のベール質量は約250kgであり,切断にともなう損失率はラッピング作業を含めても6.5%であった。また,30a区画圃場における作業能率は約22分/10aであった。