近年,休耕田など耕作放棄地が放牧地や採草地として利用される場面が増えている。これらの草地を適切に管理,利用する上で,面積や配置条件を把握しておくことが重要である。そこで小型GPS受信機(GPS)が,草地の面積や外周距離の測量,また配置図の作製にどの程度の水準で使えるかを,従来の巻尺および航空写真による方法と比較しながら調査した。その結果,GPSの平均誤差は内部アンテナ使用および内部アンテナ使用の場合に,それそれ1.18 m,0.63mであり,平均二乗誤差はそれぞれ1.62m,0.80mであった。このように外部アンテナにより測量精度が向上した。その精度には限界があるが,GPSに外部アンテナを使うことにより,実際に測量した草地の形,面積および外周距離の値は,巻尺による測量結果に近い値が得られた。さらに対象とする草地が分散していても,GPSにより航空写真で得られる程度の簡易な配置図を作製することができた。GPSは操作が容易で,大まかな草地の上地情報が測れ,草地の利用・管理に役立つものと考える。