イヌビエ(Echinochloa crus-galli (L.) Beauv.)とメヒシバ(Digitaria adscendens (H.B.K) Henr.)種子の発芽に及ぼす光質の影響を明らかにするため,緑色光,赤色光,赤外光の照射区,寒冷紗による遮光区,明区,暗区の計6つの異なる光環境条件下で発芽試験を行なった。さらに両雑草種子の光発芽へのフィトクロムの関与の有無を確かめるため,赤色光と赤外光を交互に照射して発芽試験を行い,赤色光と赤外光の影響の可逆性について検討した。両雑草の発芽率は寒冷紗区と赤色光区で明区と同等の高い値を示したが,緑色光区では明区に比べ有意に低い値であった(p<0.05)。さらに赤外光区の発芽率は暗区と有意差のない極めて低い値を示した。また,イヌビエとメヒシバ種子はともに赤色光照射に続いて赤外光を照射すると赤色光の発芽促進効果は打ち消され,さらに赤色光を照射すると再び発芽は促進された。以上のことからイヌビエとメヒシバの発芽促進効果は主に赤色先に依存していると考えられる。また赤色光と赤外光の発芽に及ぼす影響には可逆性が認められたことから,両雑草の発芽に及ぼす光の作用にはフィトクロムが光受容体として関与している可能性が極めて高いと考えられる。