抄録
科爾沁砂地における流動砂地から半流動砂地,半固定砂地,固定砂地にかけての植生回復過程の各段階において,それぞれが典型的な異なった優占種をもつ構造があることを示した。種数,種多様性指数,種の均等性指数,群落の生態的優占度指数,生活型組成と分類学的な群落組成の変化は,植生の発達と群落の生態的機能の改善を示した。群落の遷移にともない,初期の不安定な一年生植物が次第に多年生植物におき代わった。アカザ科植物種は遷移のどの段階でも見られたが,特に初期に高い優占度を示した。さらに遷移の進行にともなってイネ科植物種が増えた。植生回復の進行にともない,土壌有機物含有率に,固定砂地>半固定砂地>半流動砂地>流動砂地の傾向が見られた。容積重には諸段階間では顕著な差が認められなかった。地上部現存量は固定砂地が最大であり,つづいて半固定砂地,半流動砂地,流動砂地の順になった。