広大な林内放牧地において家畜の嗜好採食特性を利用して集畜作業を容易にするために,寒地型牧草からなる集畜草地を牧柵で囲んだ平坦地の一部に不耕起造成し,草地の植生,生産量および利用率の年次経過を検討した。堆肥ペレットやマクロシードペレットにより造成した草地では,牧草の表面播種・肥料散布で造成した草地にくらべ全植生に占める牧草の被度が高かった。日乾物生産量は,春から初夏にかけて最も高く,夏季に低下し秋季にやや回復する傾向を示した。年間生産量は造成翌年に800gDM/m^2を越えたが,年次経過に伴い低下し,3年目にはほぼ半減した。現存草量に対する被食量の割合で示した草地利用率は,時期によって大きく変動したが,ほぼ40-80%の範囲で推移した。年間生産量に対する年間被食量の割合で示した年間草地利用率は,0.71-0.90と比較的高い値を示した。