日本草地学会誌
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研究報告
放棄農林地のクズ(Pueraria lobata (Willd.) Ohwi)埋土種子集団の動態に及ぼす伐採,火入れ,放牧の影響
福田 栄紀
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 60 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
クズの制御技術開発に資するため,クズが繁茂する放棄地において伐採と火入れがクズ埋土種子の出芽に及ぼす影響,放牧がその出芽実生の消長に及ぼす影響を調べた。放棄農林地を伐採し,集積した枝条塊に翌年5月中旬火入れをした。火入れ跡地内外でベルトトランセクト法により出芽数と残存埋土種子数を調べた。伐採跡地にヒツジを5月下旬から放牧し,4つの条件(火入れ禁牧,火入れ放牧,伐採禁牧,伐採放牧)下でクズの被度の変化を比較した。クズの埋土種子は,火入れにより多数出芽し,残存数は減少した。その後,幼植物は禁牧条件で10月に被度55%を示し再優占化したが,放牧条件では消滅した。一方,伐採のみでは出芽は僅かで,埋土種子が多数残存し,繁茂しなかった。クズの埋土種子の休眠打破と出芽は火入れにより顕著に促進され,その出芽実生は放牧により抑圧される。
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© 2014 日本草地学会
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