日本草地学会誌
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研究報告
ネムノキ(Albizia julibrissin Durazz.)がオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)の生育と飼料成分特性に及ぼす影響
福田 栄紀
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 61 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

寒地型牧草のための肥培樹,庇陰樹としてのマメ科先駆樹種ネムノキの特性を評価するため,ネムノキがオーチャードグラス(Og)の生育に及ぼす影響を調べた。ネムノキの孤立木とOgが同所的に生育する3か所において,ベルトトランセクト法によりOgの草丈,収量を測定し,樹冠内外で飼料成分含量を比較した。草丈,乾物収量はネムノキの樹幹に近づくにつれ漸次高くなった。樹冠内が高い成分は,2番草におけるCP,DE,OCC+Oaであり,これら蛋白質・可消化エネルギー関連成分は番草を問わず樹冠内が高い傾向にあった。樹冠外が高い成分は,2番草におけるObであり,また番草を問わず繊維性成分は樹冠外が高い傾向にあった。TDN収量,CP収量は,1番草において樹冠内の方が樹冠外より高かった。収量特性における樹冠内外差は1番草においてより顕著であり,一方栄養特性における内外差は2番草でより顕著であった。これらの結果はOgの生育に影響を及ぼす主要環境要因がネムノキ樹冠内において一様ではなく,樹幹に近づくにつれて漸次好適になること,およびネムノキは夏が暑い日本でOgのための肥培樹,庇陰樹として機能しうることを示唆する。

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© 2015 日本草地学会
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