日本草地学会誌
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研究報告
牛ふん堆肥の連用が飼料イネ(Oryza sativa L.)栽培水田からの窒素・リン・カリウムの流出に与える影響—ライシメータ試験の結果
草 佳那子阿部 薫石川 哲也
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2015 年 61 巻 2 号 p. 74-82

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抄録
2003-2009年に牛ふん堆肥(堆肥)の施用量の違いとイネ作付けの有無がライシメータ水田からの窒素,リンおよびカリウムの流出に与える影響を調査した。堆肥散布から入水までの期間降水量が多いと,堆肥施用量の増加に伴い全窒素浸透流出量が増加した。イネ収穫後の窒素,リンおよびカリウムの浸透流出量はイネ栽培期間と同等かそれ以下であった。栽培期間の窒素,リンおよびカリウムの浸透流出は堆肥6kg/m2連用で増えたが,堆肥2kg/m2連用では無堆肥と同程度であった。イネを作付けしない年には夏以降に窒素浸透流出量が著しく増加したが,リン・カリウムの浸透流出は増加しなかった。堆肥6kg/m2連用によりイネの収量は増加したが,窒素,リンおよびカリウムの著しい流出と土壌への蓄積が起こったため,飼料イネ生産には堆肥2kg/m2程度の連用が望ましいと考えられた。
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© 2015 日本草地学会
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