2017 年 63 巻 2 号 p. 67-73
赤かび病抵抗性トウモロコシの育成に向けた基礎的な知見を得るため,人工接種による抵抗性検定の有用性を検証した。2011年から2013年にかけて,胞子懸濁液の雌穂側面中央部への注入による有傷接種を行い,赤かび病発病指数と雌穂のフモニシン含量を調査した。いずれの試験年次においても接種区でフモニシン蓄積が確認でき,ほぼ全ての接種区で自然感染区との有意差が認められた。発病指数は品種系統間の有意差が認められたが,フモニシン含量はF1品種間で有意差がなく,気象条件によっては,発病指数が同じでもフモニシン含量が増減する場合があった。F1品種のフモニシン含量とその両親の平均値には高い正の相関が認められ,フモニシン含量を指標とした親系統の選抜により,赤かび病抵抗性品種が育成可能であることが示唆された。