日本草地学会誌
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63 巻, 2 号
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研究報告
  • 三ツ橋 昇平, 玉置 宏之, 黄川田 智洋, 佐藤 尚
    2017 年 63 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル オープンアクセス

    赤かび病抵抗性トウモロコシの育成に向けた基礎的な知見を得るため,人工接種による抵抗性検定の有用性を検証した。2011年から2013年にかけて,胞子懸濁液の雌穂側面中央部への注入による有傷接種を行い,赤かび病発病指数と雌穂のフモニシン含量を調査した。いずれの試験年次においても接種区でフモニシン蓄積が確認でき,ほぼ全ての接種区で自然感染区との有意差が認められた。発病指数は品種系統間の有意差が認められたが,フモニシン含量はF1品種間で有意差がなく,気象条件によっては,発病指数が同じでもフモニシン含量が増減する場合があった。F1品種のフモニシン含量とその両親の平均値には高い正の相関が認められ,フモニシン含量を指標とした親系統の選抜により,赤かび病抵抗性品種が育成可能であることが示唆された。

  • 福田 栄紀
    2017 年 63 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル オープンアクセス

    ネムノキがその樹冠下の土壌と植物の化学特性に及ぼす影響を調べるため,ネムノキ孤立木の樹冠内外の表層土壌とイネ科草種地上部の成分含量を比較した。樹冠内が樹冠外より有意に高い土壌成分や特性値は硝酸態窒素,MgO,リン酸吸収係数であり,全窒素,CaO,CECも樹冠内が高い傾向にあった。同様に樹冠内が有意に高い植物体中成分はCP,Mg,NEm,OCC+Oa,粗脂肪であった。逆に,樹冠外が有意に高い成分は繊維性成分であり,乾物率,リンも樹冠外が高い傾向にあった。土壌中含量が樹冠内において高い窒素やMg等の成分は植物体中含量も樹冠内の方が高かった。これらの結果は,ネムノキは共生根粒菌による窒素固定,深根による土壌深層からのミネラル等の吸収とリターによる地表への還元等を通して土壌の肥沃化に寄与すること,およびそのことが樹冠下に生育する植物の飼料成分特性の向上に寄与することを示唆する。

  • 菅野 勉, 森田 聡一郎, 佐々木 寛幸, 西村 和志, 西森 基貴
    2017 年 63 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル オープンアクセス

    気候モデルをMRI-CGCM3,排出シナリオをRCP4.5とした場合の最新の予測データを用いて2040年(2031-2050年平均)および2090年(2081-2100年平均)におけるトウモロコシ二期作栽培適地の拡大予測を行った。また,既報(菅野ら2014)で策定された10℃基準有効積算温度2,300℃以上という指標のほか,高品質のサイレージ調製が可能になる条件として,1作目・2作目ともにトウモロコシの全植物体乾物率が30%前後となる条件として10℃基準有効積算温度2,530℃以上という条件を新たな適地判定指標として,栽培適地の拡大予測を行った。その結果,2040年は関東地域の年平均気温が現在よりも1.29℃上昇することが予測され,関東地域の全3次メッシュ(約1km×1km)に対し1月から12月の10℃基準有効積算温度が2,300℃以上となる栽培適地のメッシュ数割合は37.78%,同積算温度2,530℃以上のメッシュ数割合は12.87%に増加することが予測された。2090年は関東地域の年平均気温が現在よりも2.21℃上昇することが予測され,同積算温度2,300℃以上の栽培適地メッシュ数割合は54.15%,同積算温度2,530℃以上のメッシュ数割合は40.27%に増加することが予測された。こうした変化にともない,2090年頃までに関東地域の低標高地のほとんどが二期作の栽培適地になることが予測された。

短報
  • 田川 伸一, 松山 裕城, 佐藤 裕一郎, 遠藤 芳郎, 堀口 健一
    2017 年 63 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル オープンアクセス

    This experiment was carried out to investigate in situ dry matter rumen degradability (ISDMD) of extruded brown rice (EBR) and extruded whole rice with hulls (EWR). The ISDMD was measured using the in situ nylon bag technique (incubation times : 0, 3, 6, 9, 12, 24 and 48 hours). A single-screw dry extruder was used to process the rice. The EBR, EWR, brown rice (BR), whole rice with hulls (WR) and barley were ground (2mm) and incubated in the rumen of two Japanese black cattle fed forage and concentrate in a ratio of 1 : 4 on a dry matter basis. Neutral detergent fiber contents of BR and WR decreased, whereas non-fibrous carbohydrate contents increased, with extrusion processing. The effective degradability (passage rate, 5%/hour) of dry matter from WR increased from 56.6% to 78.9% with extrusion. Results suggest that the utilization of rice by beef cattle are improved with extrusion.

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