2018 年 64 巻 3 号 p. 163-170
ケンタッキーブルーグラス−シロクローバ混播草地のための省力的な放牧利用技術を確立するため,ホルスタイン種育成牛を固定放牧し,入牧時期ならびに施肥量が植生,草地と家畜生産性に及ぼす影響を3年間調査した。対照区は草丈12cmで入牧し,施肥は標準施肥量(72-96-132(N-P2O5-K2O)kg/ha)を年間3回に均等施用した。平準化区では余剰草発生を抑制するため,草丈5cmで入牧し,年間施肥量を対照区の1/3に減肥してスプリングフラッシュ後に一括施用した。その結果,平準化区では6月の急激な草量増加は抑制され,シロクローバ乾物重量割合は高く推移した。TDN含量およびCP含量の年間平均値は平準化区の方が高かった。平準化区の延べ放牧頭数は547頭日/ha,ha当たり増体量は862kg/ha,日増体量は 0.981kg/頭/日となり,対照区と同等であった。以上のことから,ケンタッキーブルーグラス−シロクローバ混播草地において固定放牧を実施する際に,入牧の早期化と減肥は省力管理に有効であることが示された。