2019 年 64 巻 4 号 p. 244-253
シバムギとリードカナリーグラスとのアレロパシーに関するチモシーの品種間差異を検討するため,水抽出液発芽試験,プラントボックス法,agar-based methodを12品種により実施した。いずれも根長または地上部長の抵抗性や潜在的アレロパシー活性で有意な差異が認められた。一方,試験間の抵抗性に関する相関の多くは弱いかほとんどなかった。これはアレロパシー物質の作用効果の違いによると考えられ,複数試験での総合評価が品種間の抵抗性の包括的評価には望ましいと考えられた。プラントボックス法とagar-based methodでの抵抗性は,圃場条件での初期生育と品種間序列の傾向の一致が認められる場合があった。以上より,雑草とのアレロパシーに焦点を当てた選抜がチモシー競合力の改良に有効な可能性が示された。