2021 年 67 巻 1 号 p. 1-7
トウモロコシサイレージは優れた粗飼料である。本試験では乳熟期から完熟期にかけて収穫した4品種のホールクロップトウモロコシを細断し,パウチサイレージを141点調製し,開封後,乾燥粉砕しない状態で測定した近赤外スペクトルを用いて,全ての波長情報を使用する通常の部分最小二乗回帰分析(PLSR)法と,対象成分の推定に寄与してない波長情報を除去もしくは有益な波長情報を選択する波長選択型PLSR法としてIterative Stepwise Elimination PLSR(ISE-PLSR)法を用い,飼料成分と発酵品質を簡易・迅速に評価できる検量線を作成し,両法の推定精度の比較を行った。交差確認の結果,全ての項目においてPLSR法よりもISE-PLSR法のほうが検量線の精度が優れた。汎用性の高い検量線の提示にはさらなる試験が必要であるが,pH,DM,酪酸,吉草酸含量,V-SCOREについて,迅速評価の可能性が示された。