日本草地学会誌
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牧草類の収量成立に関する研究 : 第2報 2年目の施肥による増収要因と生育相について
広田 秀憲
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1961 年 7 巻 2-3 号 p. 118-127

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抄録

永年生のいね科牧草としてチモシー,オチャードグラス,まめ科牧草としてラジノクローバー,赤クローバーをそれぞれ単播した草地を用い,化成肥料の施肥量試験を実施し,播種当年に引続き2年目の調査を行な育た結果,つぎのことがわかつた。1.多収穫を得るには,それぞれの牧草の生育特性をよく考え,増収に最も効率の高い時期に追肥を行なうべきで,チモシー,赤クローバーは早春に,またオーチードグラス,ラジノクローバーは刈取毎に追肥した方がよいようである。2.施肥の適量はまめ科牧草ではやや低めで,いね科草はかなり多肥でも増収する。3.施肥による生産の形はオーチャードグラス,ラジノクローバーではむしろ下層が密な生育を示し,チモシー,赤クローバーは垂直方向への増体によつて増収する。4.草重中の同化部分のしめる割合は,1,2番刈ともに肥料の増投に伴ない次第に減少し,むしろ非同化部分の増体によつて増収する。5.肥料を増投しているに拘わらず,チモシー,赤クローバーの2番刈多肥区でむしろ減収するのは,これらの草種は,極多肥区では1番刈後の再生が弱く,下層における草体の生産が少ないためである。6.増収要素としては,チモシーでは草丈の伸び,オーチャードグラスでは葉の増体,ラジノクローバーでは葉数の増加と葉の大型化,赤クローバーでは茎の生長肥大などが考えられた。

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© 1961 著者
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