地理学評論 Series A
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論説
動物園来園者の空間利用とその特性
――上野動物園と多摩動物公園の比較――
有馬 貴之
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2010 年 83 巻 4 号 p. 353-374

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抄録

本研究の目的は,東京の上野動物園と多摩動物公園を調査地として,来園者の空間利用を比較し,それぞれの空間利用の特性を明らかにすることである.来園者に対してアンケート調査とGPS調査を行った結果,空間利用に影響を与える要素として,経験と目的,主体年齢,利用形態という三つの来園者属性と,敷地形態,土地起伏,動物展示,休憩施設,水辺・緑地という五つの空間構成要素が抽出された.市街地型動物園である上野動物園では,休憩施設が来園者全体の空間利用に最も影響を与えていた.つまり,上野動物園は動物の観覧以外にも休憩の場所としての多様な用途を担っていた.一方,郊外型動物園の多摩動物公園では,動物展示が来園者全体の空間利用に最も影響していた.したがって,多摩動物公園は,動物を観覧する場所としての重要性を強く備えていた.

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© 2010 社団法人日本地理学会
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