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地理学評論 Series A
Vol. 85 (2012) No. 2 p. 106-126

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http://doi.org/10.4157/grj.85.106

論説

本研究は,耕地一枚ごとの通称地名である「筆名」について,命名原理と空間単位に関する従来の知見を再検証した.棚田と散村が卓越する,長崎県平戸市宝亀町および木場町の8世帯・計139枚の耕地を事例に,筆名とその由来,筆名が指示する空間単位,土地利用,面積と斜度,周囲の景観要素などについて調査した.その結果,従来の研究で提示された四つの命名原理の出現頻度が平地農村とは異なる点,同一の集落内でも命名原理に大きな世帯差が見られる点,時に複数の命名原理による筆名が存在する点,小字名の転用以外の方法でも情報量が節減されている点,などが明らかになった.さらに,認知言語学におけるアフォーダンス,プロトタイプ,ランドマークとトラジェクター,ベースとプロファイルの諸概念が,命名原理の一部を理論的に説明し得ることが見出された.空間単位に関しては,従来の仮説の部分的な修正が必要である.

Copyright © 2012 社団法人日本地理学会

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