地理学評論 Series A
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会長講演
日本における農村空間の商品化
田林 明
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2013 年 86 巻 1 号 p. 1-13

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抄録
現代の農村空間は,生産空間としての性格が相対的に低下し,消費空間という性格が強くなっている.この状況を「農村空間の商品化」としてとらえることができる.現代日本における農村空間の商品化を整理すると,(1)農水産物の供給,(2)レクリエーション・観光,(3)都市住民の農村居住,(4)農村の景観・環境の維持と社会・文化の評価を通した生活の質の向上,に類型化することができる.これらの分布は大まかにいって,自然条件の差や大都市からの近接性などによって規定されている.ここでは農村空間の商品化を観光発展に結びつけようとしている栃木県那須地域の事例と,農村資源を保存・育成するエコミュージアム活動が展開する山形県朝日町の事例を取り上げ,商品化する日本の農村空間の具体的な姿と特徴を検討した.日本の農村で現在起きているさまざまな現象を,農村空間の商品化という視点からよく理解することができる.
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© 2013 社団法人日本地理学会
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