地理学評論 Series A
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論説
岐阜県多治見市における夏季晴天日の暑熱環境の実態調査と領域気象モデルWRFを用いた予測実験
——物理モデルと水平解像度に伴う予測結果の不確実性の検討——
髙根 雄也日下 博幸髙木 美彩岡田 牧阿部 紫織永井 徹冨士 友紀乃飯塚 悟
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2013 年 86 巻 1 号 p. 14-37

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抄録

これまで調査されてこなかった岐阜県多治見市と愛知県春日井市の暑熱環境の実態を明らかにするため,2010年8月の晴天日に,両市の15地点に気温計を,2地点にアスマン通風乾湿計と黒球温度計をそれぞれ設置し,両市の気温と湿球黒球温度WBGTの実態を調査した.次に,領域気象モデルWRFを用いて気温とWBGTの予測実験を行い,これらの予測に対するWRFモデルの有用性を確認した.最後に,WRFモデルの物理モデルと水平解像度の選択に伴うWBGT予測結果の不確実性の大きさを相互比較するために,物理モデルと水平解像度の感度実験を行った.その結果,選択した物理モデルによって予測値が日中平均で最大8.4°C異なること,特に地表面モデルSLABは観測値の過大評価(6.8°C)をもたらすことが確認された.一方,水平解像度が3 km以下の場合,WBGTの予測値の解像度依存性は日中平均で最大0.5°Cと非常に小さいことが確認された.

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© 2013 社団法人日本地理学会
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