地理学評論 Series A
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論説
広島の古日記天候記録による1779年以降の夏季気温の復元
平野 淳平三上 岳彦財城 真寿美
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2018 年 91 巻 4 号 p. 311-327

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抄録

広島の古日記天候記録に記された降水日数を基に夏季の気温変動を復元する目的で研究を行った.まず,1901–1950年の気象データを用いて6,7,8月の気温(月平均気温,月平均日最高気温,月平均日最低気温)と降水日数の相関係数の空間分布を調べた.その結果,西日本で7月と8月に月平均日最高気温と降水日数に強い負相関が認められ,降水日数から推定する気温要素として月平均日最高気温が最も適していることが判明した.次に,西日本の広島における古日記天候記録の降水日数を基に1779年以降の7月と8月の月平均日最高気温を復元した.その結果,東日本で飢饉が発生した1780年代,1830–1840年代は,広島の月平均日最高気温が低下していたことが推定された.一方,1820年代と1850年代は,19世紀の中で相対的に月平均日最高気温が高い年代であったことが推定された.

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© 2018 社団法人日本地理学会
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