地理学評論 Series A
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論説
インド・デリーのインフォーマル工業部門における産業集積の存立構造
宇根 義己友澤 和夫
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2019 年 92 巻 3 号 p. 153-174

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抄録

インド・デリー首都圏のムスリム居住地ジャミア・ナガルに展開する繊維・縫製産業を事例に,都市インフォーマル部門における産業集積の存立構造を明らかにした.調査対象の作業場における現場労働者,経営者は主に低所得州の農村地域出身であり,当該地域における地縁・血縁関係を基盤にして人材が当地へ供給されている.作業場は卸売・輸出業者との近接性を活かした高い接触頻度により,賃加工型の受注を獲得している.また,デリーの卸売・輸出業者によるサプライチェーンの一端を担うことが当集積の存立をもたらしている.現場労働者の生活環境は良好とはいえないが,出来高制を基本とした長時間労働のため,フォーマル部門の労働者の最低賃金以上の収入を得る者もある.また,現場労働者から作業場の経営者となる経路が確認された.現場労働者による起業を可能としているのは,多額の投資を必要としないことや労働力の確保が容易な点などであった.

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© 2019 社団法人日本地理学会
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