本稿では多様化する認可保育所の設置主体間の保育士確保戦略について考察することで,保育サービス供給に関わる規制緩和が保育サービス供給の偏在にいかに影響しているのかを明らかにした.東京都内において古くから保育サービスを提供してきた社会福祉法人は,制度的に公的機関から優遇を受けており,養成校や地域との結びつきの中で,優先的に保育士を確保することができていた.一方,規制緩和によって新規参入が認められた株式会社法人は,保育士採用に関する養成校とのネットワークから排除されているため,採用コストをかけ,地方からも保育士を採用することで施設を増設させていた.このことは,地方出身保育士などによって保育サービスの拡充が図られていることを示している.こうした保育労働市場の構造はニーズに合わせた新規施設の立地を阻害する側面を有しており,単一の制度の中でのサービス供給を可能とすることが望まれる.