2022 年 95 巻 1 号 p. 1-24
本研究は,長野県白馬村のスキーリゾートにおけるインバウンド発展に伴い登場したホスト化した外国人の役割を明らかにするため,彼らの事業内容およびリゾートタウンの変容を分析した.また,彼らの役割をリゾートにおけるアクターの変遷構造を踏まえ,日本人アクターとの関係性の中でとらえた.外国人は宿泊業を中心に他業種に事業拡大を行い,リゾートタウンに外国人経営の宿泊・飲食施設が増加し,外国人の滞在形態に適したサービスが付与された.彼らはスキー観光衰退を経験した日本のスキーリゾートの更新を進めていた.また,彼らは参入時期により事業内容や日本人アクターとの関係性が異なる.日本では諸外国に比べて後発的にインバウンドが発展し,スキーリゾートに留まらず,さまざまな目的地におけるアクターが日本人から外国人へと交代している.今後,そうした実態を分析することが,日本独自の目的地の構造的変容をとらえる上で重要である.