抄録
従来の見解によれば,河川の平均流速は勾配の急なほど,また同一勾配ならば水深の深いほど,流速は速いとされて来た.したがつて勾配が急で水深の深い山地・峡谷では,勾配が緩かで水深の浅い盆地より流速は速いと考えられて来た.しかるに筆者が筑後川の上流山地・盆地・峡谷で流速を測定したところ,平常時も洪水時も,山地・峡谷における流速の方が,盆地における流速より遅かつた.この現象は筑後川のみでなく,さきに調査した猿ケ石川についてもいえることである.この原因を筆者は,平常時は山地・峡谷における河床の抵抗の増大,小洪水時は河床の抵抗の増大,ならびに水中に含まれる砂礫の量の増大,大洪水時は水中に含まれる砂礫の量の増大によるものと考える.