地理学評論
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広島県における中心集落の分布とその遷移
森川 洋
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1959 年 32 巻 11 号 p. 595-613

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抄録
W. Christallerにみるごとき中心集落の幾何学的圏構造は交通・人口密度・生活水準など種々の地域的条件を考慮するとき,撹乱・偏倚される,本論では内陸・沿岸・島嶼の3地域に区分される広島県を調査域として,かかる地域性が中心集落の分布とその遷移の上にいかなる影響を与えるかを問題とした.その主な結果は次のごとくである.
人口稠密な沿岸地域に大中心地が発達し,その周辺には中心機能の貧弱な都市が密集する.人口稀薄な内陸地域では都市はすべて中心集落として働き,それらは沿岸の大中心地から遠のくにつれて大中心地からの独立性を強化する(第9図参照).地域需要が滅少すると中心集落は貧弱となるが,中心集落のもつサービス設備と中心性との関係は必ずしも密接でない.
明治初年の中心集落分布は,現在と同様に,沿岸・島嶼地域に密で,内陸に粗であつた.この2つの時点空間の調査から中心集落の遷移をみると,内陸・沿岸両地域は中心集落の遷移因子を異にし,またその遷移段階における相異を認めさせる.
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