地理学評論
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海岸地下水とくに砂洲の地下水について
山本 荘毅
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1959 年 32 巻 11 号 p. 579-594

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抄録
弓浜半島の基盤は所によつて異つているが,これを覆う上部層の層序はどこでも同じで下から礫層,火山灰を含むシルト層,腐植によつて2分される細中砂層から成る.礫層中にはガスと鹹水,細中砂層には淡水がある.淡水の流動は両者の境をなすシルト層の起伏によつて支配されている.シルト層から上の砂層はシルト層陸化後少くとも2回の海進,海退を繰り返えした海成層で沿岸流によつて運積されたと考えられる地層は日本海側に巾200mほど見られるだけである,八郎潟の西北を限る砂洲も単なる砂嘴や砂丘ではない.この砂洲の墓盤は脇本層で地下100~250mに伏在し,この上に鮪川—潟西層が堆積している.鮪川—潟西層を覆う八郎潟堆積層は海成層で少くとも3回の海進・海退を経験している.この厚さは鮪川—潟西層の起伏に制約されているが数10mである.砂丘はこの上に薄くのつているにすぎない.淡水は砂丘砂と八郎潟堆積層の砂層中にあり,深部には(潟西—鮪川層)海水のしん入が見られる.透水性は八郎潟堆積層より鮪川—潟西層の方がよいから干拓に伴つて海水しん入の問題がある.三保半島では良好な帯水層を形成する砂礫層は最上部の10m内外でこの下には有渡山を構成する洪積層がきている.地下水体は砂嘴の発達に従つて3分され,新らしい部分ほど,砂礫層の厚い部分ほど海水の影響を受けている.
3大砂洲の根〓をなすものはいずれも新らしい海成堆積物が継続的に隆起したものであつて単なる沿岸漂砂の堆積ではないこと,淡水は表層のもつとも新らしい砂層中にあつて,その下には現在の海水またはガスを伴う化石鹹水があることが注目される.
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