地理学評論
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32 巻, 11 号
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  • 竹内 常行, 堀内 義隆
    1959 年 32 巻 11 号 p. 567-579
    発行日: 1959/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    大阪平野の南部は日本で灌漑用溜池の最も多い地域の1つであるが,その理由にこの地域は瀬戸内式気候で雨が少いからであるとするきわめて単純な意見が,日本の地理書にしばしば見られる.著者はこの意見を批判し,以下の見解をとつた.すなわちこの地域の諸川はいずれも集水流域面積が狭く,流域内に雨を降らせる高い山地もない.しかも水田適地の面積が広いので,その水田化は河川灌漑のみでは不可能であつた.また浅井戸による地下水利用に適さない洪積台地が広いので,地下水灌漑で広く補うことも困難であつた.しかし滲透量の少い土質の低い洪積台地や,これをふちどる侵蝕の進んだ古い台地や丘陵には溜池適地があるので,この地域では溜池が発達した.
    この地域の溜池には貯水の困難を思わせるものが多いので,著者はこれらの貯水方法に興味をもち,堺市東方の北部台地,槇尾川流域,樫井川流域を選んで,貯水方法に関連してそれぞれの特色を明らかにした.とくに樫井川流域では,溜池の立地に有利で,優先的に樫井川から引水貯溜できる古い台地の溜池群と,貯水の困難な平地の溜池群,貯水の困難な平地の皿池群,山間丘陵の溜池群に分け,それぞれの灌漑区域について,水利の問題の諸性質を考察した.
  • 山本 荘毅
    1959 年 32 巻 11 号 p. 579-594
    発行日: 1959/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    弓浜半島の基盤は所によつて異つているが,これを覆う上部層の層序はどこでも同じで下から礫層,火山灰を含むシルト層,腐植によつて2分される細中砂層から成る.礫層中にはガスと鹹水,細中砂層には淡水がある.淡水の流動は両者の境をなすシルト層の起伏によつて支配されている.シルト層から上の砂層はシルト層陸化後少くとも2回の海進,海退を繰り返えした海成層で沿岸流によつて運積されたと考えられる地層は日本海側に巾200mほど見られるだけである,八郎潟の西北を限る砂洲も単なる砂嘴や砂丘ではない.この砂洲の墓盤は脇本層で地下100~250mに伏在し,この上に鮪川—潟西層が堆積している.鮪川—潟西層を覆う八郎潟堆積層は海成層で少くとも3回の海進・海退を経験している.この厚さは鮪川—潟西層の起伏に制約されているが数10mである.砂丘はこの上に薄くのつているにすぎない.淡水は砂丘砂と八郎潟堆積層の砂層中にあり,深部には(潟西—鮪川層)海水のしん入が見られる.透水性は八郎潟堆積層より鮪川—潟西層の方がよいから干拓に伴つて海水しん入の問題がある.三保半島では良好な帯水層を形成する砂礫層は最上部の10m内外でこの下には有渡山を構成する洪積層がきている.地下水体は砂嘴の発達に従つて3分され,新らしい部分ほど,砂礫層の厚い部分ほど海水の影響を受けている.
    3大砂洲の根〓をなすものはいずれも新らしい海成堆積物が継続的に隆起したものであつて単なる沿岸漂砂の堆積ではないこと,淡水は表層のもつとも新らしい砂層中にあつて,その下には現在の海水またはガスを伴う化石鹹水があることが注目される.
  • 森川 洋
    1959 年 32 巻 11 号 p. 595-613
    発行日: 1959/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    W. Christallerにみるごとき中心集落の幾何学的圏構造は交通・人口密度・生活水準など種々の地域的条件を考慮するとき,撹乱・偏倚される,本論では内陸・沿岸・島嶼の3地域に区分される広島県を調査域として,かかる地域性が中心集落の分布とその遷移の上にいかなる影響を与えるかを問題とした.その主な結果は次のごとくである.
    人口稠密な沿岸地域に大中心地が発達し,その周辺には中心機能の貧弱な都市が密集する.人口稀薄な内陸地域では都市はすべて中心集落として働き,それらは沿岸の大中心地から遠のくにつれて大中心地からの独立性を強化する(第9図参照).地域需要が滅少すると中心集落は貧弱となるが,中心集落のもつサービス設備と中心性との関係は必ずしも密接でない.
    明治初年の中心集落分布は,現在と同様に,沿岸・島嶼地域に密で,内陸に粗であつた.この2つの時点空間の調査から中心集落の遷移をみると,内陸・沿岸両地域は中心集落の遷移因子を異にし,またその遷移段階における相異を認めさせる.
  • 1959 年 32 巻 11 号 p. 614-628_1
    発行日: 1959/11/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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