地理学評論
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建設予定の米沢湖集水域の積雪調査
吉田 義信
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1960 年 33 巻 1 号 p. 26-43

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抄録

本稿は主として昭和33~34年冬季において,栂森北西斜面の標高500~1,300m間に,高度50m毎に17の測点を設けた9回の調査と,昭和34年2月27~28目に,建設を予定されてる米沢湖集水域67.36km2を66の測点で調査した結果である.栂森北西斜面における積雪深・積雪水量の高度分布は,標高1,000m以上の直線関係部分と,その下部のconvexな曲線関係部分との結合からなる.下部の積雪全層平均密度の高度分布は,concave な曲線をなしてこれと対応している.かかる高度分布形態をとる理由は,板谷峠から吹き込む冷たい偏東風による積雪保存効果によるものと考えた.積雪水量高度分布の時期的変化は,高度700mと1,000mとを境として3つの型に分れ,高所になるほど最高に達する時期が遅れる.しかし33~34年は, 2月中旬~3月中旬の融雪流出により,平年において最高に達する時期のピークを欠いた.米沢湖集水域の積雪水量算出に当つては,消雪地の面積を除き,覆雪度を写真や観察によつて定めて実測値を修正して用いかくて1,564万トンと計算されたが,継続的調査から,平年は3,500万トン,最大量は6,200万トンと推定した.

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