抄録
大陸の東西での気候状態のちがいを気団の南北混合という見地から説明しようと試みた.
混合の度合の地域的な分布を示すためブロッキング発生の経度分布,上層における偏西風の波の振巾,地上における高・低気圧出現率の分布,地上および3kmの高度の日平均気圧の標準偏差,月平均気圧の標準偏差の分布等を調べた.その結果これらの量はいずれも大陸の東岸で小さく,反対に大陸の西岸で大きい値をとることが分つた.これらの値はじよう乱のはげしい時に大きくなることから,大陸の西側では熱の南北交換が大きく,東岸では熱の交換の少いことを意味し,容易に次のような温度分布の特徴を説明できることが分つた.すなわち,
1. 大陸の西岸:高緯度で高温,低緯度で低温.
2. 大陸の東岸:高緯度で低温,低緯度で高温,
なお温度分布の経度線に沿う断面を比較して大陸の東および西で,それぞれ高温と低温とはほぼ補償し合つていることも明らかになつた.
つぎにこのような温度分布から期待される空気中の水蒸気量の分布を論じ,それによつて年降水量300mmの等値線と-29°Cの等温線,年1000mmの線と-1°Cの等温線がそれぞれ大体一致しているこどを含めて,年降水量分布の特性の多くを説明できることを示した.