抄録
22号台風による狩野川流域の災害のうち,民家に関するものを調査して次のような類型の設定を試みた. a) 最上流部の小沢に立地する集落が被つた災害で,山崩れに基ずく土石流の押し出しによつて民家が埋まり,壊れ,あるいは流失した(沢の押し出しによる被害型). b) 上流部の低位段丘上の集落の一部が,そこに氾濫した水勢によつて流失した災害である(上流部の氾濫水勢による被害型).曲流部の河床堆積が主因となつて氾濫:を生じたものと思われる. c) 段丘地域の橋梁が洪水をダムアップし,その水圧によつて流失したために異常な洪水波を生じ,それによつて橋畔の民家が流失したもの(橋梁のダムアップ・流失による被害型). d) 修善寺橋下流部の沖積低地に発生した災害(破堤による集団流失被害型)多数の民家が流失し,人的被害も大きい.堤防決壊の直接的原因は,修善寺橋の流失に基因する異常洪水波にあると推測される. e) 千歳橋下流部の排水不良の低地帯に氾濫し,多数の民家の床上に浸水した(氾濫による浸水被害型).家屋の流失や人的被害はほとんどない. f) 最下流部に発生した災害で,狩野川の氾濫はほとんどなかつたが,本流に合流不能となつた小支流が堤内の市街地に盗れ,民家の床上に浸水した(内水による浸水被害型).これ等の災害のうち,橋梁のダムアップ・流失によつて生じた異常洪水波は,災害の規模をいつそう拡大したと思われる.屋敷林には顕著な防災効果が認められた.また家屋構造上,石造やアンカーボールト等も防災効果があつた.