地理学評論
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シンギュラリティに及ぼす太陽黒点数の影響
長尾 隆
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1960 年 33 巻 4 号 p. 219-231

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抄録

年平均の太陽黒点数が変化したとき,シンギユラリティおよびその前後の天気の性質がどうかわるかを, 12月30日, 2月5日, 4月6日のシンギユラリティを例にとつて調べた.調査はLettauの“Specific singularity”の方法に従つて,各暦日の資料を太陽黒点数が60より大きい場合,60と15の間にある場合, 15より小さい場合の3つに層別化した.得られた結果の主なことは次のとおりである.
(I) シンギユラリティ当日の天気は太陽黒点数が増加すると,日本内地の雨は全般的に増加するが,減少するときには,日本の南岸を除いて全体として著るしく雨が少い.
(II) シンギユラリティの前後の日には太陽黒点数が60より多いときは,九州南部から四国にかけて著るしく雨の少い地域が見られるが,少い日にはむしろ反対の傾向が見られる.
これらの結果をもたらす機構は,太陽黒点数の変化により日本付近を通過する高低気圧の数が増減するために起るものであり,このことは各暦日における気温の度数分布の変化からも間接に証明される.

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