抄録
今までの動気候学的な気候区分においては,主として気団の特性がその指標として取り上げられてきた.これは勿論重要な要素であるにはちがいないが,ここでは主として気団の変質と混合という見地から問題を取扱つた.そのため,まず気圧・気温などの日々の変化,あるいは月平均値の年々の変化の意味を考察する.
その結果気圧・気温の日々の変動や月平均値の年々の変動の小さい揚所は,各々線状をなしていて質量混合熱の水平混合の小さい場所となつていることが分つた.この事は水蒸気についても言える.
これらの結果にもとずいて,気候学的な意味における気団の変質の概念を導入する.これによると気団の進行速度は100-300km/dayであるから,大陸を離れた気団は2-3日で変質を完了し,その結果大陸沿岸から500-1,000kmの距離に気温標準偏差の谷ができる.これらの事を参照して気圧・気温・水蒸気の変動の小さい線の意味を調べた結果,これらの線は気候区の設定に役立つこと,しかも気温の月平均値の年々の変動の小さい線による気温分布の区分は,前線帯による気候区分の一種の拡長であることが分つた.
このような点を知つた上でごく簡単に日本の内地の気候を考察した.その結果,日本の冬・夏の気候の特性について可成り興味のある結果をえた.