地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
能代付近の段丘地形
白井 哲之
著者情報
ジャーナル フリー

1961 年 34 巻 9 号 p. 487-497

詳細
抄録
米代川下流能代付近に発達する段丘地形と堆積層の調査から,段丘面形成時の堆積環境をあきらかにし地盤運動の傾向を考察した.
本地域には5段の段丘がある.第1段丘(高度80-120m), 第2段丘 (40-70m), 第3段丘 (35-50m), 第4段丘 (20-30m), 第5段丘 (10-15m) である.このうち第3段丘がもつとも広く,第4段丘は各川の北側に分布している.米代川の南では各段丘面は現海岸線に平行に分布するが,北ではこの傾.向はない.
段丘堆積層のfaciesに注目して,これを4つの型に分類し,標式地の名をとつてそれぞれ森丘型,国見型,内坂型,向能代型とした.それらの堆積環境を考察し,それぞれを浅海,氾濫原,扇状地,河口の環境をあらわすものと解釈した.各faciesの分布を各段丘面ごとに追跡し,それにもとづいて段丘面の性質を4種類に分類した(第6図).米代川の南の各段丘面は一部をのぞいて海成段丘であるが,北側の各段丘は扇状地,氾濫原・河口の性質をもつた河成段丘である.第1段丘堆積層は第2,第3,第4段丘の堆積層よりも厚く堆積作用がより盛んであつた.
本地域には5回の相対的隆起運動があつたが,第3段丘面形成期には安定した時期が長くつづいたと思われる.各段丘面形成時とも本地域の南部は海で,北部の河に対してまり低い状態におかれた.また,各段丘とも北側の隆起量は南側に比してより大きいものであつた.こうした傾向は八郎潟造盆地運動の一環をなすと考える.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top