抄録
症例は49歳,女性.潰瘍性大腸炎(以下UC)で内科的加療を受けていた.経過中に貧血を認め,上部消化管内視鏡検査で進行胃癌と診断され,当科を紹介された.胃癌は術前検査でリンパ節転移,播種性病変も疑われたため,術前化学療法の導入なども考慮したが,貧血の原因が胃癌であると判断し手術を施行した.UCは全結腸炎型で,活動性は中等症であり,内科的治療で管理可能となり始めていたので,大腸全摘術は施行しなかった.UCと胃癌の合併の報告は稀であるが,昨今のUC患者の増加とともに胃癌との合併症例も今後増加すると予想される.UCと胃癌それぞれの病態に応じて治療方針は異なるが,多くのUC患者はステロイドが長期もしくは大量に投与されており,周術期管理にはステロイド補充,合併症の対策などが重要であると思われる.今回,これらのことを考慮して周術期を安全に加療できたので,若干の文献的考察を加えて報告した.