大分市東方丹生台地から前期旧石器が発見された.丹生台地には7段の段丘が発達しており,石器の発見されたのは第2段丘(標高60~90m) である.遺物の包含層は第2段丘堆積物最上部の厚さ3m以上の角礫・粘土層で,表層には赤色土が形成されている.北九州に分布する赤色土は古土壌とみなされ,その形成時代は問氷期と思われる.筑紫平野周辺部の赤色土が阿蘇熔結凝灰岩,およびこれに対比される火山噴出物におおわれているので,少くとも,阿蘇カルデラの形成期よりも前で,丹生台地の遺物包含層は少なくとも1回の間氷期を経過したことは確かである.