地理学評論
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米代川流域の近世期の開発と新田集落
三浦 鉄郎
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1962 年 35 巻 7 号 p. 327-337

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抄録

米代川流域の新田集落の成立期を第1期 (1596~1660), 第2期 (1661~1735), 第3期 (1736~1859) に区分し,それぞれの時期の特性を明かにしながら開発の過程を検討した.第1期では,能代平野南部の洪積台地中の侵蝕谷と同平野北部洪積台地の柏毛川の谷に新田集落が成立した.開発上の特性は差紙開(給人開)の形式である.第2期に成立した新田集落は,米代川全流域に散在している.すなわち海岸地方では,砂丘の内側,台地ではその侵蝕谷,また種梅川,藤琴川,長木川,阿仁川などの米代川支流地域では,引水の容易な地点や洪水の難をさけ得られる地点や飲料水の求めやすい地点を選んで立地している.開鑿発の特性は,第1期とは異なり,忠進開が主となつている.第3期は,古い集落が用水路の開墾によつて,荒廃せんとする本田を復興し,さらにその余水をもつて切添新田の開発が行われた.すなわち藩営起返新田の形式をとつている.

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